結論から言います。この週末、GoogleのAIエージェント「Antigravity」を使い込んで、2つの自動化ツールを作りました。そして今まさに、この記事を書いている私の後ろで、その1つが数百件のデータを処理し続けています。

ここ数ヶ月、いろいろなところでセミナーをやらせていただく中で、生成AIを業務に活用されている方が増えてきたなという印象を持っています。文章作成やアイデア出し、情報整理など、日常業務で使いこなしている方も珍しくなくなりました。

でも、こんな声もよく聞きます。

「考えるのは手伝ってくれるけど、結局やるのは自分なんだよね」

生成AIは「考える」は得意。でも「実行する」は?
今回はそんな話をしたいと思います。

生成AIは「考える」は得意、でも「実行する」は?

ChatGPTやGemini、Claudeなど、私たちの身近にある生成AIツール。文章を書く、アイデアを出す、情報を整理する。これらは本当に得意です。最近では、画像も動画も良い感じに作って提案してくれます。

PDCAサイクルで考えてみましょう。

Plan(計画) では、「新規顧客を獲得するための施策を5つ考えて」と聞けば、すぐに具体的なアイデアが返ってきます。Check(評価) では、「この売上データを分析して、傾向を教えて」と依頼すれば、的確な分析結果を出してくれます。Action(改善) では、「このプロセスの問題点と改善案を提案して」と聞けば、実行可能な改善策を示してくれます。

つまり、「考える仕事」は、もう十分に実用レベルに達しています。

では、Do(実行) はどうでしょうか。

「この数千件のデータを、別のデータベースと照合して、情報を補完してほしい」と依頼したとします。生成AIは何と答えるでしょうか。おそらく「このような方法で照合できます」「Excelの場合はVLOOKUP関数を使って……」という「やり方」を教えてくれるはずです。

でも、実際にその作業をやってくれるわけではない

もしくは、無理に実行させようとすると、ハルシネーション(事実と異なる情報)混じりのデータが返ってきたり、そもそも大規模なデータを読み込むことができなかったり。「ちょっと待って、それ全然違うよ」と人間が確認・修正する羽目になる。結局、人間の手間が増えてしまう。

これが、生成AIの現在地だと思っています。

下書きを作ってくれる。アイデアを整理してくれる。考える時間を短くしてくれる。それは本当に助かります。でも、正直に言うと、人間が本当にやってほしいこと、助けてほしいことは他にもあるんですよね。

「やり方はわかっている。でも、やる時間がない」。中小企業の現場では、これがものすごく多い。生成AIに相談すれば、効率的なやり方は教えてもらえる。でも結局、実際に手を動かすのは人間。膨大なデータを1件ずつ処理したり、複数のシステム間でコピー&ペーストを繰り返したり。

ここに、AIエージェントという新しい選択肢が出てきました。

AIエージェント「Antigravity」を使ってみた

今回使ったのは、Googleが2025年11月に発表した「Antigravity」というツールです。

Google Antigravity Google Antigravity – Build the new way antigravity.google

これまでのAI開発支援ツールは、人間がコードを書いていて、AIが「次はこう書くといいですよ」と提案してくれる形でした。便利ではありますが、作業の主体は人間のままです。

Antigravityは発想が逆。人間が「こういうものを作って」と指示を出すと、AIエージェントが計画を立て、コードを書き、実行し、エラーが出たら自分で修正し、ブラウザで動作確認までやってくれる。作業の過程はすべて記録されるので、何をやったのかも見える。

実際に使ってみて、印象的だったことをいくつか書きます。

最初は、普通の生成AIでやろうとした

実は最初からAntigravityを使ったわけではありません。納期の問題もあり、まずは手軽な方法を試しました。GoogleスプレッドシートのAI関数を使って、Geminiに情報を推測させる方法です。プロンプトも調整し、他で取得できるデータと組み合わせながらやってみました。

結果は、正直に言うと微妙でした。

まず、出力されるデータの信頼性が落ちる。「それっぽい」データは返ってくるけど、本当に合っているかわからない。かといって、信頼性を上げようと「わからなければ『不明』と答えて」と指示すると、今度は「不明」だらけになってしまう。

さらに、大規模データの一括処理ができない。数千件のデータを処理しようとすると、API制限にかかったり、途中で止まったり。結局、手作業で小分けにして処理することになり、自動化の意味が薄れてしまう。

ここで、Antigravityに切り替えることにしました。

勝手にブラウザを開いて、確認までやってくれる

「このツール、ちゃんと動くか確認して」と言ったら、Antigravityが勝手にブラウザを開いて、実際に動かして、スクリーンショットを撮って「ここがこうなっています」と報告してきました。

従来の生成AIは「こうやって確認してください」と手順を教えてくれるだけ。でもAntigravityは、自分で確認して、結果を見せてくれる。

コードを書く→動かす→確認する→問題があれば直す。このサイクルを、人間が介入しなくても回してくれる。一方で、私に確認が必要なときは、ちゃんと動作を止めて指示を待ってくれる。

暴走するわけではなく、任せるところは任せて、判断が必要なところは聞いてくる。「作業を任せる」という感覚は、ここから来ています。

壁にぶつかっても、一緒に乗り越える

今回、途中で壁にぶつかりました。Webから情報を取得しようとしたら、ボット判定で止められてしまったんです。

普通ならここで諦めるか、別の方法を自分で調べることになります。でもAntigravityに相談したら、「Webから取れないなら、AIの知識ベースから推測するモードに切り替えましょう」と提案してきた。しかも、推測した情報には確度(高・中・低)も付けて、どの程度信頼できるかも判定させる仕組みまで作ってくれました。

こうした「別の方法を提案して、実装まで持っていってくれる」のは、単なるアドバイスとは次元が違います。

「こだわり」を伝えれば、反映してくれる

もう1つのツールでは、PDFから抽出したデータをExcelに出力する処理を作りました。

最初に出てきたExcelファイルを見て、「法人番号が指数表記(1.43E+12みたいなやつ)になってる。これは文字列として扱ってほしい」と伝えました。「見出し行に色を付けて、罫線も引いて」とも言いました。

こうした「実務上のこだわり」を対話で伝えていくと、一つずつ反映されていく。まるで、優秀なアシスタントに作業を依頼しているような感覚でした。

数日かかる処理も、任せられる

数千件のデータを処理するツールは、完了まで数日かかります。途中でPCがスリープしたり、通信が切れたりすることもある。

「中断しても、続きから再開できるようにしてほしい」と伝えたら、どこまで処理したかを記録して、ワンクリックで再開できる仕組みを作ってくれました。

今も私の後ろで動いているツールは、この仕組みのおかげで、放っておいても大丈夫。私は別の仕事ができる。これが、AIエージェントとの協働の実際の姿です。

中小企業にとっての意味

「でも、そんな複雑なツール、うちには関係ない」と思われるかもしれません。

でも考えてみてください。皆さんの会社にも、こんな作業はありませんか?

  • 顧客リストの情報を定期的に最新化したい
  • 競合他社の動向を定期的にモニタリングしたい
  • 各種書類のデータを他のシステムと照合したい

これらはすべて「膨大なデータを扱うD(実行)の作業」です。人間がやると時間がかかりすぎて、結局「やらない」という選択をしてきた作業。

従来、こうした「自社のピンポイントな業務」のためにツールを作ろうと思ったら、開発会社に依頼するしかありませんでした。でも、見積もりを取れば数十万円、場合によっては数百万円。中小企業、特に小規模企業にとっては、到底割に合わない。だから「手作業で我慢する」か「そもそもやらない」という選択肢しかなかった。

AIエージェントは、この状況を変える可能性を持っています。自分で作れる時代が、すぐそこまで来ています。

現段階では、まだ「自分には手を出しにくい」と感じている方も多いと思います。それは自然な感覚です。でも、こうしたツールは確実に身近な存在になってきています。ChatGPTが登場した2022年から、わずか数年でここまで来ました。AIエージェントが当たり前に使われる日も、そう遠くないはずです。

まとめ

この週末のAntigravity体験で実感したのは、「生成AIの使い方のフェーズが変わりつつある」ということです。

「文章を書く」から「ツールを作る」へ。 「答えをもらう」から「仕事を任せる」へ。

PDCAの「D」を、AIエージェントに任せられる時代が来ています。


最後までお読みいただきありがとうございました。 中小企業、特に小規模企業のIT活用・生成AI活用について、引き続き発信していきます。


この記事はnoteでも公開しています。

実装支援・DX推進・生成AI活用のご相談は、お気軽にお問い合わせください。
→ お問い合わせはこちらから