中小企業診断士・ITコーディネータの大澤真介です。 合同会社オンザウェイの代表をしています。 ITと経営の二刀流で、中小企業のDX推進をお手伝いしています。

最初に、正直に言わせてください

私はこれまで、セミナーや記事を通じてこう伝えてきました。

「孤独な経営者にとって、生成AIは”考える”パートナーになる」

相談相手がいない。壁打ちの相手がいない。夜中に一人で悩んでいるときに、いつでも付き合ってくれる存在。それが生成AIの最も大きな価値だと。

この考えは、今も変わっていません。

ただ、ここ数ヶ月で、もうひとつ伝えなければならないことができました。

生成AIの「AIエージェント」と呼ばれる機能の進化が、凄まじい。 「考える」パートナーとしてだけではなく、「実行する」存在としての能力が、急速に上がっています。

発言の方向性がブレたと言われるかもしれません。 でも、覚悟して言います。

経営者こそ、今のAIエージェントを自分の手で触ってほしい。

1ヶ月だけでいい。最上位プランを試してほしい。 その理由を、今日は書きます。

無料プランでは「考える」までしか見えない

多くの経営者が使っている生成AIの用途を整理すると、だいたいこうなります。

  • 文章の添削・リライト
  • アイデアのブレスト相手
  • 調べものの要約
  • メールの下書き

全部「考える」の支援です。 人間が指示を出して、AIが考えて、結果を返す。その繰り返し。

これだけでも十分に便利です。自分に出てこない発想に出会えた、業務時間が削れたという実感のある方も多いでしょう。

ところが、最上位プランの先には「実行するAI」がいます。

ファイルを作る。コードを書く。Webサイトを構築する。データを集めて整理する。APIを叩いて外部サービスと連携する。ブラウザを自分で操作して情報を取りに行く。しかも、途中でエラーが出たら自分で原因を分析し、修正して、やり直す。人間が横で見ていなくても、自律的に動き続ける。

さらに、定型的な作業は「Skills」として登録しておけば、毎回指示しなくても高品質な出力が自動で出てくる。外部サービスとの連携も「MCP(Model Context Protocol)」という仕組みで各社が対応を進めていて、Googleカレンダー、Gmail、Slack、各種データベースなど、つながる先がどんどん広がっている。

これが「AIエージェント」です。

私が主に使っているのはClaude Code(Anthropic社のClaude最上位プランで使えるコーディングエージェント)ですが、この機能は無料プランには含まれていません。課金しないと、そもそも触ることすらできない。

つまり、無料プランだけを使っている経営者は、生成AIの「実行する側面」をまったく見ないまま投資判断をしていることになります。

私がClaude Codeに「実行」させたこと

ここからは実体験です。 私がこの数ヶ月でClaudeの最上位プランを使って実際に作ったものを紹介します。

LINEに送るだけで予定がカレンダーに入る

「明日15時、京都経済センターでミーティング」

これをLINEに送るだけで、Googleカレンダーに予定が自動登録される仕組みを作りました。場所の情報もGoogleマップのリンク付きで入る。Claude Codeと1日で構築しました。

毎朝6時にAIニュースレポートが届く

YouTubeの新着動画とWeb記事を自動でチェックし、AIが要約して、毎朝メールで届く仕組み。自分専用のAI情報レポートです。1月から運用しています。

会員交流会の運用ツールをゼロから構築

GASとスプレッドシートを組み合わせた会員交流会の運用ツール。参加者管理、グループ分け、通知の自動化。これはClaude Codeではなく、Claudeとのチャットのやり取りだけで3時間で構築しました。

ただし、この開発ではClaudeのMAXプランが効いています。運用ツールの開発は、仕様の相談からコードの生成、エラーの修正、機能の追加と、やり取りが膨大になる。無料プランや通常の有料プランでは、途中で会話がぶつ切りになってしまい、文脈が途切れます。長い会話を維持できるMAXプランだからこそ、3時間で一気に作り切れた。

本業の裏側でも、常にClaude Codeが動いている

上の3つは記事にしたものですが、実際にはもっと日常的に使っています。 自社SaaS「GUULY」のリニューアル開発。支援先企業の業務改善ツールの構築。自社Webサイトの作成・更新。 何かの仕事をしている背後では、常にClaude Codeが動いている。もはやそういう状態です。

いずれも共通しているのは、AIに「聞いた」のではなく「やらせた」ということです。 Claude Codeによる直接の実行であれ、チャットを通じたコード生成であれ、対話の延長ではなく、実行の委任。この差が決定的に大きい。

ここまで読んで「結局プログラミングの話でしょ?」と思った方もいるかもしれません。

違います。

たとえば、競合他社のWebサイトを巡回して価格情報を一覧表にまとめる。社内に散らばったExcelファイルを集約して分析レポートを作る。契約書のひな形を自社の条件に合わせて修正する。提案書のたたき台を、過去の成約データを踏まえて作成する。

これらも「実行」です。コードを書く能力は、あくまでAIエージェントの手段のひとつにすぎません。経営者が「これを自動でやってくれたら助かる」と思うことの多くが、AIエージェントの守備範囲に入り始めている。

だからこそ、自社の業務を一番知っている経営者自身が触ることに意味があります。

月2〜3万円は「視察費」として安い

Claude Maxの$100プラン(月額約1万5千円)。 数字だけ見ると、中小企業にとっては安くない出費に感じるかもしれません。

でも、少し考えてみてください。

経営者が展示会に行くとき、交通費と宿泊費でいくら使いますか。 業界の勉強会やセミナーに参加するとき、参加費と移動費でいくらかかりますか。

月1万5千円は、1ヶ月間「AIが実行する世界」を体験するための視察費です。 しかも、自分のオフィスから一歩も出ずに。

IT投資の意思決定をする人間が、自分で触らないまま「まだ早い」「うちには要らない」と判断する。 正直に言うと、それが一番高くつきます。

なぜ「経営者自身」なのか

月額3,000円の標準プランなら、業務効率化に関心のある従業員が自分で契約するかもしれません。 実際、そういうケースは増えていると思います。その良し悪しについては、あえてこの記事では置いておきます。

ただ、MAXプランを従業員が自腹で契約することは、まずない。

そしてMAXプランで触れるAIエージェントの世界は、既存業務の効率化にとどまりません。 業務の進め方そのものを変える。人の配置を変える。外注していたものを内製に切り替える。新しいサービスを作る。 そういう「変革」の可能性を持っています。

業務効率化は現場の判断でできます。 でも、変革の判断ができるのは経営者だけです。

だからこそ、経営者自身が、今、触る価値がある。

始めるハードルは、もうほとんどない

「でも、使い方がわからない」

その気持ちはわかります。私も最初はそうでした。

ただ、2026年の今、Claude Codeの使い方はYouTubeで検索すれば実演動画が山ほど出てきます。インストール方法から、実際の操作画面、具体的な活用例まで。日本語の解説動画も増えています。

書籍を買う必要はありません。 公式ドキュメントを英語で読む必要もありません。 動画を見ながら、真似するだけでいい。

それでもわからなければ、Claude自身に聞けばいい。 「Claude Codeのインストール方法は?」「このエラーはどう直す?」「次に何をすればいい?」と聞けば、答えてくれます。

ここが、私がClaudeを推す理由のひとつでもあります。 Claudeには「Skills(スキル)」という仕組みがあり、特定の分野について専門的に回答できる知識が組み込まれています。
そのSkillsの中に、「product-self-knowledge」──つまり自社製品についての知識を扱うスキルがある。Claude CodeやClaude APIの使い方、料金プラン、機能の違いなどについて質問すると、公式ドキュメントを参照して正確に答えてくれます。

ChatGPTやGeminiに「自分自身の使い方」を聞いても、学習データの古い知識で答えることがある。Claudeは自分のことをきちんと正確に教えてくれる。この差は、初めて触る人にとっては特に大きい。

Skillsについては以前、詳しく記事を書いています。この頃よりもさらに進化が進んでいます。

使い方を教えてくれるAIに、使い方を聞く。これが2026年の現実です。

情報のハードルはもうほとんどありません。 あるのは「やるかやらないか」だけです。

「無料の時代」は静かに終わりつつある

もうひとつ、急いだほうがいい理由があります。

2026年3月、OpenAI(ChatGPTの運営会社)の責任者が「使い放題プランが続く世界はあり得ない」と発言しました。AIの計算コストは年々増加しており、特にエージェント機能のように複雑な処理を行う機能は、コストが膨大にかかります。

実際に、ChatGPTでは無料プラン・低価格プランに広告が導入され始めています。 Claudeも2026年4月から日本向けに消費税10%が追加されました。

「いつかやろう」と思っているうちに、料金が上がる可能性は十分にあります。 AIエージェントは、今が最もコストパフォーマンスの良いタイミングかもしれません。

まとめ:「使うかどうか」の前に「見たかどうか」

この記事で伝えたかったのは、「最上位プランに課金しろ」ではありません。

「見てから判断してほしい」ということです。

AIが実行する世界を、自分の目で見る。自分の業務で試してみる。 その上で「うちには要らない」と判断するなら、それは正しい判断です。

でも、見ていないのに「まだ早い」と言うのは、判断ではなく先送りです。

1ヶ月だけ、Maxの$100プランを試してみてください。

Claude Codeは月額3,000円のProプランでも使えます。 ただ正直に言うと、Proでは本質に触りきれない。AIエージェントをまともに使い始めると、やり取りの量が膨大になります。試行錯誤を繰り返しているうちに使用量の上限に達して、中途半端なところで止まる。それでは「体験した」とは言えません。

Maxの$100プランなら、Proの5倍の使用量。月額約1万5千円で、1ヶ月だけと割り切って使い倒してください。合わなければ翌月Proに戻せばいい。

使い方はYouTubeに山ほどあります。 それでもわからなければ、Claude Code自身に聞いてください。

展示会1回分の視察費で、「AIが実行する世界」を自分の目で確かめられます。

「考えるパートナー」としての生成AIの価値は、今も変わりません。 ただ、その同じAIが「実行する存在」にもなり始めている。 これを自分の目で見た上で、自社にとっての使い道を判断してほしい。

ブレたと言われても、今はそう伝えたいと思っています。


「触ってみたけど、自社でどう使えばいいかわからない」 「可能性は感じたけど、形にする方法がわからない」

そこを一緒に越えるのが、私の仕事です。

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